3「ピシッと声トレ」で声帯萎縮が改善、誤嚥性肺炎の予防。毎日続けることで、肺炎の発生率を88%も下げる

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声帯の不具合に対する治療法の一つとして、外科手術があります。シリコンやコラーゲンなどを用いる声帯注入術のほか、筋膜自家移植術といった方法です。

私はこれまでいくつもの治療法を考案、成果を上げ、論文としてまとめています。筋膜自家移植術も、私が長年取り組んだ研究の一つで、声帯の再生手術として大きな成果をおさめました。

しかし、この手術は「声帯溝症」などで若い方を対象にするときには効果が高いのですが、高齢者の場合は移植する筋膜と、その細胞自体が老化しているので、あまり効果が期待できるものではありませんでした。

では、高齢者は声帯の不具合を「年のせいだから」と我慢しなければならないのでしょうか?その必要はありません。

たしかに、日本は世界でも例を見ないスピードで高齢化が進んでいます。

少子化ももちろん問題ですが、日本は先進国のなかでも最も高齢化が進んでいるだけに、日本の今の医療が解決しなければならないのは「日本で初めて」ではなく、「世界で初めて」の課題なのです。

外科手術が難しいなら、それ以外の方法を考えればいい、と私が考案したのが「ピシッと声トレ」のように高齢者の声帯萎縮にも有効なトレーニング方法です。

このトレーニングは医学的な試験でも効果が確認されています。

65歳以上の声帯萎縮、声門閉鎖不全の70名を対象に「ピシッと声トレ」を行なったところ、トレーニングを始めて1カ月後には70名中68名が発声持続時間の延長、咳やむせるといった誤嚥症状がなくなったという結果が得られました。

その3カ月後には全例で発声持続時間の延長が見られました。

誤嚥性肺炎は食べ物や飲み物、あるいは寝ているときの唾液などが食道ではなく誤って気管に入ることで起こります。

ところが、「ピシッと声トレ」を続けたことで声帯萎縮が改善、誤嚥症状も消失し、結果的に誤嚥性肺炎の予防につながったのです。

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さらに、私は次のような試験も実施しました。

私が所属する国立病院機構東京医療センターなど同機構の計10病院で、声がれや誤嚥症状を訴えて受診した60歳以上の男女を無作為に2つのグループに分け、一方は「ピシッと声トレ」を行なってもらい、もう一方はこうしたトレーニングなしで、その効果を比較しました。

すると、訓練をしなかったグループ216人中18人が半年以内に肺炎で入院したのに対し、毎日「ピシッと声トレ」を続けたグループ199人のうち同じく肺炎で入院したのは2人に留まりました。

つまり、「ピシッと声トレ」を毎日続けることで、肺炎の発生率を88%も下げることができたのです。この研究は医学雑誌にも掲載され、「ピシッと声トレ」によるトレーニングが世界的に認められました。

誤嚥予防以外の「声がれ」や「発声時間」に関しても、より大きな効果が確認できています。

声帯は使わないと衰えます。毎日、家族や知人、近所の方たちと元気よく会話を交わしていれば、それだけで声帯の健康を守ることもできますが、今の時代、一人暮らしの高齢者はふえていますちし、みんながみんな外に出て元気に話ができるわけではありません。

しかし、こうした「1日中ほとんど誰とも話をしない」生活を続けていると、どうしても声帯は衰えますし、声がれや誤嚥といった問題が生じることになります。

声の健康を保つことは、健康で長生きをすることにつながります。「ピシッと声トレ」は「1人」でできるトレーニングです。「最近、声がかすれてきたなあ」とか、「最近、食事をしていてむせることがある」と思い当たる方はぜひ、今日この瞬間から「ピシッと声トレ」をやってみてください。

1日2回、たった2分のトレーニングがあなたの健康を守ってくれるのです。

引用文献・参考文献

声をキレイにすると超健康になるー角田晃一氏ー


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